学校や社会福祉行政と管理・監視の支配関係。
2013/03/01
ある、いじめ・体罰をテーマにした、一般の方々を対象とした集会で発言を求められています。まだ先のことですが、ぼちぼちと発言内容をまとめています。5-6時間はしゃべれるなぁと思いつつ、スペシャルダイエットしなければなりません。13年分のおさらいができるので、今必要な振り返りと、問題意識の整理になります。基本は子どもの権利。追って、「研究ノート」で全文を公開したいと思っています。
今日は、その発言のソースをいくつか、最近のTweetからひろってみます。
子どもの権利条約の「意見表明権」。「思いを伝える権利」と言い換えたい。言語表現が困難な子どもたちがいるから。そして、思いを伝えられる(聴く)環境整備も不可欠です。当たり前の権利が侵害されている所(学校、家庭、病院、施設など)で、悲しい事件が起こることが、最近メディアで明らかに。
学校事故・事件で子どもを自死などで亡くされた親御さんで、担任などへの怒りを持ち続けている方にお会いしたことがないように思います(直後は、私も含めて様々ありますけど)。怒りや無力感は、学校や教育委員会、教育行政の無責任さや隠蔽工作などに対して高まります。折り合えることはありません。
遺族が望むのは、極論すれば2点です。事実の解明・検証と、再発防止への課題の明確化とその取り組みです。数多の犠牲を積み上げても、遺族が気を休められる、具体的な改善への取り組みがなされないことに、また怒りと無力感を高めます。大津市の第三者委員会報告書が骨抜きにされていかないように…。
行政の担当者レベルは、同様に困っている人。当事者・家族・支援者と実現したい課題は同じで、役割が違う。と、考えることが大切です。共にソーシャルアクション! 予算や体制・仕組みがないと動きようがありません。権限を持つ首長や上層部の理解度・意識がモンダイ。議員さんたちの理解も重要です。
管理、監視などの仕組みを作るのは、上下関係で上に立っていたい人が、その立場を維持するため、が理由のほとんどかと。それらが教育や社会福祉を「支える」ことはではないでしょう。どこからの圧力かわかりませんが、「視野狭窄」や「思考停止」から、信頼関係があれば不要なもの、と考えられない…。
信頼関係のない上下の関係が破綻することは、学校事故・事件がその縮図として明らかにしてくれていると思います。スポーツ界でも職場でも…。直接関わる人との信頼関係を得る努力やその時間よりも、他の(おそらくは物的に)優先するナニカが大切にされる環境が、人を成長させることはないと思います。
ここまでにまとめると3分くらいでしゃべれますが、わかりにくいですよね…。
それでは、最近の気になる記事です。
自殺実態白書2013/ライフリンク (サイト紹介)
これまで5年間の歳月をかけ、多くの自死遺族の方たちと一緒になって進めてきた、「自殺実態1000人調査」 の最終報告と、2009年~2012年の4年間分の「地域の自殺の基礎資料」(内閣府がHPで公表している自殺者統計)の分析、そして、自死遺族の方々への聞きとり調査。今後の具体的な対策へとつなげるために、あらゆる角度から日本の自殺実態の解明に取り組んだプロジェクトの最終報告書です
2013/02/28 『自殺実態白書2013』【第一版】 第1章:自殺の危機経路 第二章:自殺の地域診断 第三章:自死遺族の実状
2013/03/01 全市区町村の「地域の自殺の基礎資料」をアップしました。
http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html
2013/02/28
http://www.lifelink.or.jp/hp/top.html
●自殺至る期間に職業で差 遺族を調査
自殺の実態を明らかにしようと、NPOや専門家が500人を超える遺族に聞き取り調査を行って分析した「自殺実態白書」がまとまりました。職業によって、自殺に至るまでの期間に大きな差があることが分かり、NPOは実践的な自殺対策に生かしてほしいとしています。
この白書は、NPO法人「自殺対策支援センターライフリンク」が、精神科医や弁護士などとまとめたもので、NPOの代表や遺族が、28日、自殺防止対策を担当している森少子化担当大臣に、白書を手渡しました。
白書では、平成19年から5年間かけて、家族を自殺で亡くした523人の遺族に聞き取り調査を行い、詳しく分析しています。
それによりますと、自殺の要因が発生してから自殺に至るまでの期間について、職業別にグループの真ん中の値、中央値で比較すると、「みずから起業した自営業者」は2年、親などから「事業を継いだ自営業者」は4年7か月、正規の雇用者は4年、非正規の雇用者は6年11か月、主婦は8年3か月などとなり、特にみずから起業した自営業者の期間が、短いことが分かりました。
また、遺族の58%は「自殺のサインがあったと思う」と回答しましたが、このうちの83%は、当時はそれが自殺の兆候だとは気付いていませんでした。
NPOでは、5年前に最初の白書を公表したあと、さらにさまざまな角度から自殺の実態を詳しく分析したということで、代表の清水康之さんは「職業ごとに事情が異なるという傾向が新たに分かったので、国や自治体の実践的な自殺対策に生かしてほしい」と話しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130228/t10015862111000.html?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
「NHK NEWSWEB」2月28日
●いじめ防止、条例化へ 5月にも提案 横浜市議会が意見募集
いじめ問題が深刻化する中で、横浜市議会は、子どものいじめ防止に関する条例制定を目指し、一日から市民に意見募集を行う。締め切りは三十一日。議会は、条例案に市民意見を反映させた上で、五月開会の定例会への提出を検討している。成立すれば政令市で初の条例化となる。
大津市の中学生の自殺のほか、横浜市でも昨年七月、金沢区の小学校で障害児への集団暴行が発覚し、議会内でいじめ対策の機運が高まっていた。一月以降、議会常任委員会の「こども青少年・教育委員会」が、条例化に向けた協議を進めている。
常任委で検討している条例案では、行政、学校、保護者、地域住民、子どもたちの役割や責任を明記し、いじめを許さない子ども社会の実現を目指す。
具体的には、社会全体でいじめ防止に取り組もうと、中学校学区ごとに学校、地域、保護者などからなる「いじめ防止会議」の設置をうたっている。このほか、解決が難しいケースには第三者機関の協力を仰ぐことも検討している。
常任委の大桑正貴委員長は「条例化することで、社会に向け、いじめを絶対に許さないというメッセージを発信したい」と話す。
市も二〇一三年度、子どもたち自身が主体的にいじめについて考える場として「子ども会議」の開催や、学校に派遣するカウンセラーの充実を図る。
意見募集にあたり、議会は、子どもたち自身の意見も条例案に取り入れようと、全市立小中高などに意見募集のチラシを配布し、協力を呼び掛けている。
意見募集のチラシは各区役所や地区センターなどでも配布するほか、議会のホームページ(HP)にも掲載している。意見は、議会のHPやファクスなどで受け付ける。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20130301/CK2013030102000125.html
「東京新聞」2013年3月1日
●中学3年間いじめに遭った男子生徒、京都市と同級生ら提訴 4480万円の損害賠償求める
京都市立中学校に在籍中の約3年間、同学年の男子生徒ら5人から殴られたり蹴られたりするいじめに遭い、肉体的、精神的に苦痛を受けたとして、市立高校1年の男子生徒(16)=同市伏見区=が28日、市と5人らに慰謝料など約4480万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。男子生徒はアスペルガー症候群で、原告側は学校側の同症候群への認識不足を指摘している。
訴状などによると、男子生徒は平成21年に市立中に入学。同学年の男子生徒や下級生4人から日常的に全身を殴打されるなどの暴行を受け続けた。23年6月には集団暴行を受け、首や腰にけがを負ったほか、医師に難聴の疑いがあると診断された。24年2月には別の男子生徒1人から首を絞めるなどの暴行を受けたという。
23年6月の集団暴行と24年2月の暴行について、男子生徒側は京都府警伏見署に被害届を提出。暴行した計5人のうち、同学年の2人が暴行の非行事実で家裁送致され、保護観察処分となった。
男子生徒の父、平山智弘さん(42)は集団暴行後に学校側へ説明を求めたが、当時担任だった女性教諭から「これくらいのことは皆さん我慢している」と言われたという。
原告側は学校側のアスペルガー症候群に対する認識不足を指摘。「いじめの対象となることは予想できたが、学校はいじめを防ぐ義務を怠り、落ち度は大きい」などと訴えている。
一方、市教委は「加害生徒への指導など適切に対応している。訴状の内容を十分検討し、対応したい」としている。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/130228/waf13022820400038-n1.htm
「産経新聞」2013.2.28
●小5自殺で両親手記「学校統廃合、再検討して」
大阪府大東市の小学5年の男児(11)が学校の統廃合の中止を求めるメモを残して自殺した問題で、男児の両親が17日、読売新聞などに現在の心境を記した手記を寄せた。
両親は「心の叫びをキャッチできず、本当にごめんなさい」と悔やみ、子どもが物事を変えるために死を選ばないよう訴えているほか、男児が通っていた小学校の統廃合については再検討を求めている。
男児は14日夕、「一つのちいさな命とひきかえに、とうはいごうを中止してください」というメモを残し、JR片町線野崎駅で電車に飛び込み、自殺した。
両親は手記で、男児から最近「統廃合について、子どもの意見を聞いてくれるところはないの?」などと尋ねられ、閉校式の練習があった12日夜には男児が「みんな気持ちが違うんやから団結せー言われてもできへんやんなー」と憤慨していたことを明かした。
両親は「閉校式の練習などを頑張れば頑張るほど、統廃合という自分の思いとは逆の方向に進んでいってしまうことに心の矛盾を抱え、自分自身を追い込んでしまったのでしょう」とし、「傷ついた羽を休めてあげることが出来なかった。後悔しても後悔しきれません」とつづった。
そのうえで「物事を変えるために子どもができることが死だとは決して思わないでほしい。生きて働きかけ、世の中を変えてほしい」と強調した。
学校の統廃合には「子どもたちがどう感じているか意見を話し合う場を十分に持つことなく進められたことに一番の問題がある」と指摘。「子どもたちの納得と理解を得られるかたちで、時間をかけて是非から再検討してほしい」とした。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130217-OYT1T01125.htm?from=tw
「読売新聞」2013年2月18日
●世田谷の中1女子 自殺 いじめきっかけ 学校、対応ミス認める
東京都世田谷区の私立中学一年の女子生徒=当時(13)=が昨年十二月、自殺した問題で、同校校長が二十三日記者会見し、調査結果を発表した。昨年七月から友達にからかわれ「自殺当日、学校での昼食中に言葉によるいじめを受けたことが(自殺へと)背中を押すきっかけになった」として、いじめが自殺の原因の一つであると認めた。 (小形佳奈)
学校が生徒や教員から聞き取った調査結果によると、女子生徒が昨年七月ごろ、友達に自分の秘密を言い触らされ、そのことで複数の級友からからかわれるようになったという。スカートめくりや「うざい」「きもい」などの言葉を受けたり、十月下旬ごろからはツイッターにも同様の言葉が書きこまれるようになった。生徒の携帯電話の中身を見たり勝手にメール。女子生徒がジュース代などとして貸した数百円から三千円が返ってこないこともあったという。
女子生徒の父親から昨年十一月中旬、「娘がいじめを受けている」と相談があったが、担任が女子生徒との面談から「友人関係の悩み」と判断、いじめとは断定していなかった。
校長は「自殺の原因は複数あるが、昨年七月ごろから友達にからかわれるようになり、それがエスカレートしていじめにつながった」と話し、女子生徒の悩みの深さに気付かなかった対応のまずさを認めた。
女子生徒は昨年十二月八日に小田急線座間駅で電車にはねられ死亡。座間署によると、生徒のノートに「いろいろされたけど何があったかはいわない」と記された上で、複数の生徒の名前が記されていた。
学校は二十三日午後、保護者会でカウンセラー体制の充実や「いじめ解決のための生活アンケート」を学期ごとに行うなど再発防止策について説明した。
◇終始あいまいな説明
「わかりません」「説明できません」。女子生徒が通った私立中学校の記者会見で、校長は「いじめが自殺の一つの原因と言うなら、ほかの要因は」との質問に、あいまいな説明に終始した。
校長はプライバシーを理由に詳しい説明を拒んだ上、「遺書にはそう(いじめが原因と)あったが、生徒への聞き取りやツイッターへの書き込み内容などから、思春期特有の悩みもあったと判断した」とも述べ、いじめ以外の理由を示唆した。
遺族は自殺直後、「とにかく原因が知りたい」と、学校側に徹底的な原因調査を求めたという。
学校は自殺翌日に校長、担任や外部の危機管理コンサルタントら十一人からなる調査委員会を立ち上げた。学校は女子生徒の保護者と自殺後、四回面会し、聞き取り内容は全て文書で手渡している。
ただ、生徒への聞き取りは第三者によるものではなく、校内の教員だけで行ったという。私立学校は、市区町村の教育委員会の管轄外で、都内の私立学校を管轄する都私学部も調査手法や内容に踏み込むことはない。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022402000111.html
「東京新聞」2013年2月24日
●中2自殺、大津市長が県に要望 「守秘義務確立を」
大津市の中2男子自殺で越直美市長は4日、滋賀県の嘉田由紀子知事らに、先月31日に自殺に関する第三者委員会から提出を受けた報告書を手渡し、スクールカウンセラー(SC)の守秘義務を確立することを訴え、倫理研修の実施などを要望した。
越市長は、報告書で「自殺後、SCが、確たる証拠がないのに(男子生徒の)家庭に問題があったとした学校の考えを補強したと疑われる」との指摘があったことを紹介。SCが教員や生徒から得た情報を学校に全て伝えている現状について「どういう場合に学校と情報共有するか、事前に子どもに伝える必要がある」と倫理研修の必要性を訴えた。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202206-storytopic-1.html
「琉球新聞」2013年2月4日
●いじめ対応の指導力を、教員に1年間の長期研修
大津市で平成23年10月、市立中2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題を受け、市教委は、いじめ問題に適切な対応が取れるよう教員に指導力を身につけさせるための長期研修を来年度から実施することを決めた。教員から公募し、1年間にわたり社会福祉施設などで働いてもらう。
男子生徒が平成23年10月に自殺した際、教員の指導力不足が指摘されたことを受けた措置。5年以上の教職経験を持つ45歳未満の中学校教員3人程度を公募し、社会福祉施設や社会教育施設に1年間派遣する。
こうした研修の設定は全国的に珍しいといい、市教委は「施設で1年間、施設職員と一緒に働く中で、感性や資質を高めてほしい」と期待している。
また、いじめ問題に適切に対応するため、教職6年目を迎える教員を対象にした5日間の夏季研修を実施することも決めた。
このほか、いじめを発見しやすいとされる養護教員の拡充や、地域の関係者で学校運営を支える「学校・地域コーディネート本部」を一部の小・中学校に設け、いじめ防止の「目」を光らせることなども決めた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130222/edc13022214280001-n1.htm
「産経ニュース」2013.2.22
●教育再生実行会議:道徳の教科化も 「いじめ対策」効果どこまで
政府の「教育再生実行会議」(本部長・安倍晋三首相)が26日、第1次提言の「いじめと体罰対策」を取りまとめた。いじめについて、学校が警察と連携することや解決を図る第三者組織の設置、道徳の教科化、体罰対策としては子供への懲戒と体罰の明確な区別、国が部活動指導の指針を作ることなどを求めている。だが、道徳の教科化などには有識者から懐疑的な意見も。体罰の対策についても、教員から「懲戒と体罰の線引きができるのか」と疑問の声が上がっている。
いじめ問題に詳しい千葉大の藤川大祐教授(教育方法学)は、道徳の教科化について「制度を変えることで何がよくなるか分からない」と指摘する。いじめが深刻化するリスクを減らすために、背景にある教師の多忙や孤立への対応が必要として「今回の提言がリスクの減少につながるとは考えられない」と批判する。
大津市の中学2年の男子生徒が自殺した問題で、市の第三者調査委員会委員も務めた教育評論家の尾木直樹氏も「道徳心は日常の先生とのやり取りで育つ。道徳の教科化でどこまで形成されるか」と効果に懐疑的だ。また、いじめの解決に当たる第三者組織については自らの経験から、元校長など地元の利害関係者が入ることの弊害を指摘。「専門弁護士を養成して活用してはどうか」と提案。一方で、体罰禁止のために部活動指導のガイドライン策定が盛り込まれたことについては「大阪市で高校生が自殺した問題から2カ月あまり。短期間で提案できたのは評価できる」と話す。
東京都内の中学校長は、いじめ防止目的の道徳教科化について「目の前のことに追われ、教員同士で教育の議論をする余裕がない中で、心の問題にどう迫るのか難しい」と教師の心情を代弁。「教科化の具体的な内容が分からないだけにどうなるか不安だ」と話す。
体罰対策についても「生徒が体罰だと感じれば体罰になる。ここまでは懲戒、ここから体罰と分けられればいいが、線を引けるか疑問だ」と話した。【苅田伸宏】
◇大津市教委「厳粛に受け止める」
今回、いじめや体罰問題の発端となった現場は提言をどう受け止めているのか。
中学2年の男子生徒が自殺した問題で、いじめへの対応が批判された大津市教委。松田哲男教育部長は「厳粛に受け止めている。道徳の教科化について評価する立場ではないが、どう魂を入れて運用するかが重要。新年度からのいじめ防止対策の更なる拡充も検討したい」。また、今月19日に就任した富田真市教育長は「出された方向性に従い、教育行政にしっかり反映させたい」と話した。
http://mainichi.jp/feature/news/20130227ddm012010072000c.html
「毎日新聞」2013年02月27日
●心のノート全面改訂へ 文科相方針 14年度から使用
下村博文文部科学相は二十六日の閣議後の記者会見で、道徳用の副教材「心のノート」を二〇一四年度から間に合うよう全面改訂する方針を明らかにした。政府の教育再生実行会議(座長・鎌田薫早大総長)が、いじめ対策の一環で提言した「道徳の教科化」を受けた措置。近く有識者会議を立ち上げ、改訂のあり方や道徳の教科化の方向性を示す。
心のノートは二〇〇二年度から文科省が配布。小学校の低、中、高学年用と中学生用の四種類ある。民主党政権時の事業仕分けで予算が削減され、一〇年度から配布せず、文科省ホームページからダウンロードして使う方式に変わった。自民党の政権復帰で予算が復活した。七月にも小中学校の全児童・生徒に配布される予定だ。
下村文科相は「有識者会議で、心のノートのあり方や道徳教育を担当する教員の研修について議論してもらい、道徳の教科化の方向性を決めたい」と述べた。他の教科のように成績評価の対象とするかについては「なじまない」と明言し、「国が教材をつくり、子どもたちに規範意識、社会で生きるルールをきちんと教えることが必要だ」と述べた。
こうした動きに対し、東京都内の男性非常勤教諭(65)は「子どもの多様性や自己肯定感をいかに持ってもらうかが大切なときに、国が教科書をつくるのは、画一的な人間像を押しつけることにつながる」と話していた。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013022702000125.html
「東京新聞」2013年2月27日
●奨学金返済 40%超が生活苦訴え
日弁連=日本弁護士連合会が、全国で奨学金の返済に関する電話相談を行った結果、「生活が苦しく返済できない」という相談が全体の40%以上に上っていることが分かりました。
来月、弁護士らが全国組織を作って救済に向けた取り組みを進めることになりました。
大学生などを対象にした奨学金は、年間120万人余りが利用する日本学生支援機構の制度や自治体が設けたものなどがありますが、多くは「貸し付け」で返済が滞るケースも出ているため、日弁連は先月から今月にかけて東京や大阪など全国44の弁護士会を通じて電話相談を行いました。
その結果、全国で453件の相談が寄せられましたが、「生活が苦しく返済できない」という内容が全体の42%と圧倒的に多くなったことが分かりました。
この中には「650万円を借りたが就職先が見つからない」とか、「生活保護を受けていて自己破産を考えている」といった深刻な内容も多く、親からも「子どもが病気になったが、自分は年金で生活しているため支払いが難しい」などの相談が寄せられたということです。
担当した弁護士らは来月、「奨学金問題対策全国会議」を発足させ、利用者を救済する取り組みや、返済を猶予する制度の拡充などを求める活動を進めることにしています。
◇奨学金返済が足かせ
電話相談を担当した「日弁連貧困問題対策本部」の岩重佳治弁護士は、「電話相談では生活に追われ疲れ切った声で問い合わせる人が多かった。卒業後に奨学金が足かせとなって苦しい生活から抜け出せない、いわば「負の連鎖」が起きていることが問題で、返済を猶予する制度の拡充や、奨学金を給付制にするなど制度の改革を求めたい」と話していました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130223/k10015732381000.html
「NHK NEWSWEB」2月23日
●発達障害で懲役20年判決破棄、高裁は14年に
自宅を訪ねてきた姉(当時46歳)を刺殺したとして殺人罪に問われ、1審・大阪地裁の裁判員裁判で広汎性発達障害の「アスペルガー症候群」を理由に求刑を4年上回る懲役20年を言い渡された無職大東一広被告(42)(大阪市平野区)の控訴審判決が26日、大阪高裁であり、松尾昭一裁判長は1審判決を破棄し、懲役14年を言い渡した。
松尾裁判長は犯行に至る経緯や動機には障害が大きく影響したと指摘し、「刑事責任は低減される。更生への意欲も認められる」と述べた。
判決によると、大東被告は小学5年の頃から自宅に引きこもり、自立を促す姉に恨みを募らせて犯行を計画。2011年7月、腹などを刺して殺害した。
昨年7月の1審判決は、障害に対応する受け皿が社会になく、再犯の恐れが強く心配されるとし、「許される限り長期間、刑務所に収容することが社会秩序維持につながる」とした。
これに対して松尾裁判長は、犯行には意思疎通が困難なことなど同症候群に特有の障害が影響したとし、「被告のみを責めることはできず、量刑判断にあたって相当程度、考慮されるべき事情だ」と判断。
さらに、元受刑者の社会復帰を支援する「地域生活定着支援センター」などを挙げて、「公的機関による対応がなされている。被告も更生への意欲を示している」と結論付けた。
◆アスペルガー症候群◆ 生まれつきの脳機能障害のため、対人関係の構築や意思疎通、感情のコントロールなどが苦手とされるが、犯罪などの反社会的行動とは直接結びつかないとされる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130226-OYT1T00857.htm?from=rss&ref=rssad
「読売新聞」2013年2月26日
【日弁連】発達障害のある被告人による実姉刺殺事件の大阪地裁判決に関する会長談話
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2012/120810_3.html
●生活保護世帯の小中生支援 福岡市、無料学習の場提供
学力向上で貧困の連鎖を断つ-。福岡市は新年度、生活保護世帯の小中学生向けに、無料の学習指導事業を本格導入する。子どもたちの進学や就職の可能性を広げ、自立を促して貧困の連鎖を断つ狙い。初期のつまずきを防ぐため、小学1年生から対象とする。
厚生労働省によると、本年度の全国の高校進学率は98%だが保護世帯に限ると9ポイント低い89%。家に机が無いなど学習環境に恵まれずに低学歴となり、成人しても十分な収入が得られなくて保護を受ける悪循環に陥りがちだという。国は保護世帯の無料学習支援に取り組む自治体に、2009年度から助成を開始。12年度は94自治体が行っているが、主な対象は受験期の中学生となっている。
福岡市の学習支援は、市内4中学校区に教室を設け、NPO法人3団体に運営を委託。研修を経た大学生が週1回、放課後から午後7時ごろまで、基礎から個別指導する。昨年12月から試行したところ約25人が参加。新年度予算には事業費2260万円を盛り込み、約80人の参加を見込む。
教室の運営を担当するNPO法人「子どもNPOセンター福岡」の吉田まりえ常務理事は「個別指導を通じて『大人に大切にされている』と実感し、生活態度が良くなる子どもが増えてきた」と語る。市保護課は「いずれは、卒業生が教える側になって戻るような場所にしたい」としている。
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/350326
「西日本新聞」2013/02/28