僕はなぜ止められなかったのか?~いじめ自殺・元同級生の告白。
2013-09-17
また、久々の更新となります。子どもの命そのものを奪い、育ちを阻害する事件・事故の報道が後を絶ちません。
最近、youtube.comで流されている動画の2つを紹介し、少し一緒に考えてみたいと思います。
1つ目は、「僕はなぜ止められなかったのか?~いじめ自殺・元同級生の告白」、NHKによるものです。
http://www.youtube.com/watch?list=FLDQvFXyYAZ4Q4j09FjSR_BQ&v=8W_HdSXIwpo&index=15&desktop_uri=%2Fwatch%3Fv%3D8W_HdSXIwpo%26list%3DFLDQvFXyYAZ4Q4j09FjSR_BQ%26index%3D15&app=desktop
2つ目は、「浜松日体高校男子バレー部の体罰の様子です。」個人の投稿です。
http://www.youtube.com/watch?v=WlpNLR_IbdQ
1つ目は、いじめの放置が自死に至る、被害者の親の本音、「傍観者」だった同学年の生徒が「なぜ止められなかったのか?」という自責を生涯背負うことになるなど、再現ドラマで経過を展開しながらの構成です。学校関係の方、保護者など、子どもたちの「学校」での生活に関わる人たちにぜひ見て欲しいと思います。
2つ目は、部活における「指導」としての体罰=暴力の隠し撮り映像です。「キャプテンしばいてチームが強くなると思っているんですか?」という桜宮中学での体罰=暴行後の自死事件の現場を彷彿とさせます。こんな暴力を受け、それを目の前で体験した生徒が、何を思い記憶に焼き付けるのでしょうか?
いじめや間違った「指導」、あるいはちょっとした一言による傷つきなどから不登校になった子どもたちへのサポートの拙さを、今年の夏休みも幾ケースかで実感しています。(私と学校外の支援機関などの連携で、2学期から登校再開できたケースもあります)
以前にも書いたかと思いますが、小中学校の教師の皆さん、特に管理職の皆さんは、児童期・思春期・青年期の心理的発達や「発達障害」とされる神経発達上の違いによるそれぞれの子どもたちのタイプや個性・特性などを、しっかりと学び、理解していく自己努力を強めて欲しいと切に願います。学校で生じている事故・事件、その原因や対応のあり方などについて、教員養成課程では十分な学びとなっていない中では、独学、実践、交流、協働しかありませんから…。
それでは、最近の気になる記事です。
広島・廿日市中3女子自殺:いじめ証言 学校が「口止め」
広島県廿日市市立中学校3年の女子生徒(14)が自殺した問題で、同じ運動部の2年生が女子生徒の自殺直後に、部活動内でいじめがあったことを顧問に伝えたが、学校と市教委が保護者に「うわさを広げないで」と口止めととられかねない電話をしていたことが9日、市教委などへの取材で分かった。市教委は「情報が独り歩きしないようにするためだった」と説明。ただ、その後、市教委が設置した調査委員会はいじめがあったことを認めている。
女子生徒は5月8日に死亡した。直後の13日に2年生12人が放課後、顧問ら教諭2人に「女子生徒の同級生が無視したり、きつい言葉を言っていた」「女子生徒が同級生とけんかした際、他の同級生が相手の味方につき、女子生徒を孤立させた」などと訴えたという。
学校は同日夜、市教委と作成した文案を基に2年生の保護者に対し「うわさが広がると、うわさと事実が混乱し、生徒のアンケートや聞き取り結果が正しく出ないことも想定される」「調査委員会の結果が出るまではあちこちに広げないようにしてほしいと(生徒に)話してほしい」などと電話したという。
ある保護者は「口止めだと思った。子供たちはことを荒立てようとしたわけではなく、勇気を振り絞って証言したことを分かってほしかった」と話した。市教委は「誤解を与えたのであれば検証したい」としている。【高橋咲子】
http://mainichi.jp/select/news/20130910k0000m040161000c.html
「毎日新聞」2013年09月10日
●遺族の声聞き事後対応指針を いじめ防止法で国に要望
学校での事故や事件で子どもを亡くした遺族らでつくる「全国学校事故・事件を語る会」のメンバーが30日、文部科学省を訪れ、6月に成立したいじめ防止対策推進法の施行に当たり、いじめ自殺など子どもに重大な被害が起きた際に、遺族や被害者の意見を取り入れた事後対応の基本指針を策定するよう求めた。
同会代表世話人の内海千春さん(54)=兵庫県たつの市=と宮脇勝哉さん(55)=宝塚市=らが、文科省の池田宏生徒指導室長に要望書を手渡した。
要望では、過去のいじめ自殺などに対する検証を行い、基本指針に反映させる▽基本指針はいじめ以外の体罰や事故などで発生した被害事案にも適用する‐ことなどを求めている。
小学生だった長男が担任から体罰を受けた直後に自殺した内海さんは、大津市の中2男子自殺で事後対応の問題があらわになったとして「何をするべきかという基本的な考え方がないことが学校現場の混乱を生んでいる」と指摘。「指針の策定に向け、遺族と対立ではなく対話する関係を築いてほしい」と述べた。(山本哲志)
http://www.kobe-np.co.jp/news/kyouiku/201308/0006295690.shtml
「神戸新聞」2013/8/30
●いじめ調査結果に疑問続出
長崎市立小6年の女子児童=当時(11)=がいじめなどを理由に自殺したとされる問題で、児童が通っていた学校は16日夜、同級生らへの聞き取り調査の結果に関する保護者説明会を開いた。いじめ2件を確認したとする市教委の報告に対し保護者からは「ほかにもあったのではないか」と疑問の声が続出。説明会は約4時間に及んだ。
児童は7月に自宅で自殺を図り、その後に亡くなった。市教委は8月末までに同級生や教諭ら合わせて約50人に事情を聴き、靴を隠されたことと、修学旅行の班決めでのトラブルをいじめと判断。友人関係や課外クラブの運営も心の負担になったとみている。
説明会は非公開。市教委や出席者によると、全員で黙とうした後、市教委と学校の担当者が調査結果を説明した。これに対し複数の保護者が具体事例を挙げて2件以外のいじめの存在をただしたが、市教委は「確認できたことしか答えられない。(調査結果をさらに検証する)第三者委員会に報告する」と繰り返したという。
終了後、保護者は一様に疲れた表情で会場を後にした。6年生の母親は「聞き取り調査が不十分」と納得いかない様子で語り、5年生の父親は「2件のいじめだけで自ら命を絶つのだろうか」と首をかしげた。
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/09/17090227011485.shtml
「長崎新聞」2013年9月17日
●大学3、4年生「正社員なれぬ 自己責任」 京のNPO、就職調査印刷用画面を開く
雇用環境の変化など社会の実情を学んでいない大学3、4年生の多くが「正社員の職が見つからないのは甘えや努力不足が原因」と考えていることが、若者への労働法教育に取り組むNPO法人「あったかサポート」(京都市下京区)の調査で分かった。専門家は「就職難が自己責任論に終始しないよう、問題意識や自尊心を持って就職に向き合えるような教育が必要」と指摘する。
キャリア支援の課題を探るため、京都などの5大学430人を対象に今年4~7月、学校で学んだ内容や就職への意識を調査した。
このうち、3、4年生(約170人)は、約6割が大学で「自己分析」や「適性検査」の講座を受けていたが、「雇用環境の変化」や「労働者の権利」など働き続ける上で必要な労働教育を受けた人は、それぞれ約2割にとどまった。雇用環境の変化について学んでいない人の半数が、正社員になれないことを「自己責任」と考えていた。
一方、アルバイト経験のある学生の3分の1が「バイト先の正社員の働き方や労働条件には問題がある」と回答。「問題がある」と答えた人は、「ない」と答えた人よりも「中高年や老後の生活に不安を感じる」割合が高く、アルバイト経験が労働観に与える影響が大きいことも見えた。
調査を分析した法政大の筒井美紀准教授(教育社会学)は「大学の支援は、目先の就職を考えたキャリア教育に偏っている。アルバイト経験を学びにつなげるなど、雇用の現実や労使間で守るべきルールを知って働き続けるための教育も考えるべき」と指摘する。
14日午後2時から同志社大(上京区)で開くシンポジウム「半身就活でいこう」で、筒井教授らが調査結果を報告する。500円(学生無料)。問い合わせは同NPO法人TEL075(352)2640。
http://www.kyoto-np.co.jp/education/article/20130912000163
「京都新聞」2013年09月12日
●小学校教師の約8割が「授業や学級作りに時間がとれない」
小学校教師の77%が「授業や学級作りに時間がとれない」と感じており、教師歴に関係なく、教師全体に多忙感があることが、日本標準教育研究所が8月に公表した調査報告書「小学校教師の現状と課題」より明らかになった。
同調査は、全国の小学校の先生を対象に、2012年4月と8月、12月の計3回「小学校教師の意識についてのアンケート」を実施。第1回「教師の仕事」、第2回「勤務状況と子どもの現状」、第3回「授業と教材」をテーマに調査した。アンケート回答数は、第1回が325人、第2回が373人、第3回が388人。
指導案作りや授業の準備に参考にしているものは、「教科書の赤刷りや教科書指導書」87%、「教科書」74%と、約8割が教科書を参考にしている。また、「書店販売の図書」56%に対して、「学校直販の教材教具」19%となり、書店販売の図書の方が多く参考にされている。自由記述には、「ネットに載っている事例」「TOSS、インターネット」「インターネットで閲覧できる各都道府県教育センターの資料」などインターネット上の情報を参考にしているという回答が多数みられた。
授業の準備について、「十分とはいえないが、前日には準備を終えるようにしている」が37%ともっとも多く、次いで「必要な単元については、しっかり準備している」30%。「毎時間、しっかりと事前に準備している」はわずか6%であった。
また、準備時間は、「31~60分」が51.4%ともっとも多く、次いで「30分以下」22.5%、「61~120分」16.6%。準備をする場所は、「学校」が51.4%ともっとも多く、次いで「自宅」27.4%であった。
授業の際、教科書以外に使用する教材は、「自作の必要があるもの以外は、市販教材を使っている」が44%ともっとも多く、それ以外の回答を含めて市販教材を使っている割合は9割以上であった。自由記述には、「デジタル教科書を利用して作った自作プリント」「インターネットから無料ダウンロードプリント」などの回答があった。
「授業や学級作りに時間がとれない」と感じている教師は、「とてもそう思う」40%と「まあそう思う」37%の合計77%が忙しいと感じている。教師歴10年ごとの集計では、10年以下から順に44%、42%、35%、44%と大きな変化はなく、教師歴に関係なく忙しいようだ。
同研究所のホームページには、小学校教師の現状と課題について、128ページにわたる報告書が掲載されている。
《工藤 めぐみ》
http://resemom.jp/article/2013/09/03/15046.html
「ReseMom」2013年9月3日
●自殺未遂「再発」防止事業…39自治体に拡大
救急搬送された自殺未遂者を病院と行政で連携して支援する自殺防止事業が全国の都道府県・政令市の約半数の39自治体(検討中を含む)に広がっていることが大阪府の調査でわかった。
未遂者は繰り返し、自殺を図る傾向があるため、再び自殺に走るのを防ぐ支援を行政が提供し、自殺を減らす取り組みだ。
調査によると、支援事業は、24都府県と12政令市で行われ、京都府と2政令市が検討中だ。救命救急と精神医療の連携を図る研修(宮城県)や、臨床心理士による自殺未遂者の支援(奈良県)など、心理や医療の専門家が関与する事業が多い。
全国に先駆けて2010年1月から事業を始めた大阪府では、現在、六つの救急病院に精神保健福祉士ら専門家計6人を配置。未遂者のカルテや面談を通じて背景を探ったうえで、精神科医や福祉行政、保健所などに引き継ぎ、必要な支援を行っている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20130828-OYT1T00616.htm?from=tw
「読売新聞」2013年8月28日
●不登校専門紙が部数倍増 求められる「寄り添った」支援
昨夏、休刊の危機にあった、不登校・引きこもりの専門紙「Fonte(フォンテ)」の部数が倍増した。昨年4月は約800部だったが、今年8月で約1600部に。不登校や引きこもりの体験談を掲載するなど当事者の立場に立った数少ないメディアとして注目を集めている。(油原聡子)
◇
□共感の機会に
同紙は平成10年5月、創刊。不登校や引きこもりの子供や親の体験談を掲載するなど当事者に寄り添う紙面作りを行ってきた。創刊当時は約6千部の発行だったが、昨年4月には約800部まで減少し、休刊の危機に直面した。
しかし、国内に数少ない、引きこもりや不登校の専門メディア。昨夏、大津のいじめ自殺事件が報道されたことを一つのきっかけに再び注目を集め、部数が増加した。同紙の石井志昂(しこう)編集長は「当事者の声のニーズの高さを実感した。子供も親も不登校や引きこもりの苦しさに共感してもらえる機会が少ないのではないか」と振り返る。
□脱しきれない
一時期、部数は低迷したが、ホームページの訪問者は増加傾向にあった。昨年1年間は約15万人だったが、今年は8月末で既に約24万人。インターネット上で情報を求める人が多いことから、8月下旬からは有料のウェブサイト「不登校新聞」もスタートさせた。同紙の過去2年半分の記事から子供や若者の記事150本超、親や祖父母の記事約50本がそれぞれ掲載されている。今後はウェブでのオリジナル記事も掲載していく予定だという。
ウェブ版で人気を集めているのが、不登校のその後を扱った記事だ。不登校を経験後、支援する側に回った30歳の男性の話は反響が大きかった。
不登校の男性が16歳の頃、不安と焦りからアルバイトを探したが見つからず、父親に「18歳まで猶予をください」と訴えた。すると、父親が「18歳だとか猶予だとかにこだわらなくていい」「俺の子供である以上、この家に住むために何かをする必要はない」と答えたエピソードが掲載された。これを見た子供側からは「救われた」、親側からは「子供はこう言ってほしかったのか」という声が寄せられた。
不登校経験者の女性が25歳になった今も引きこもりがちという記事もよく読まれている。不登校を脱した記事だけではなく、苦しみ悩むありのままの姿をつづった記事が人気を集めていることに、石井編集長は「不登校から脱しきれず、同じような状況の人が多いからではないか」と指摘。不登校でついた傷や、そのときの親子関係の問題を時間がたっても引きずっている人は多いという。
石井編集長は「当事者は不登校や引きこもりになった後のコミュニティーがなく、孤立してつらい思いをしている。逃げた先のつながりをつくり、支援につなげられたら」と話している。
◇
□生きた情報が心のよりどころに
教育評論家、尾木直樹さんの話「不登校や引きこもりの子供や親は『自分たちの悩みを分かってほしい』という思いがあり、生きた情報を求めている。しかし、当事者に寄り添った情報はなかなかない。Fonteで当事者や経験者の記事を読むことで『不登校だからって人生が終わるわけではない』という頑張りや安心感につながるのではないか。部数が伸びたのは大津のいじめ自殺事件の報道で注目されただけではなく、当事者の人々にとって生きた情報が心のよりどころになっていたということだろう」
【用語解説】Fonte
NPO法人「全国不登校新聞社」(東京都北区)が平成10年5月に創刊。東京、大阪、名古屋に編集拠点があり、月2回、不登校や引きこもりの当事者や保護者の体験談を中心に、子供に関する事件や裁判、文部科学省の動きなど教育に関する話題を掲載している。購読料は1カ月800円、6カ月4800円、12カ月9600円。ウェブ版の「不登校新聞」は1カ月800円。申し込み・問い合わせは、Fonte東京編集局(電)03・5963・5526。
「産経新聞」2013.9.6
http://sankei.jp.msn.com/life/news/130906/edc13090608310000-n1.htm