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        成年後見制度を通して見えてくる制度や仕組みのモンダイ・矛盾・谷間・隙間。
        2014/09/22
         死亡届→口座凍結。悪徳な輩が多いために、必然的な処置なんでしょうが、真面目に成年後見人等としての事後処理をしようとすると、とっても面倒なことになります。
         夏前のことですが、被補助人さんが亡くなられた後の相続をはじめとした手続きとして、原戸籍を入手するために出生地の役所へ、ねんきん事務所で最後の振込をご主人口座に代える手続きなどのために慌ただしく動きまわり、でも市の障がい福祉課から携帯に、還付金が振り込めない旨の連絡があり…、。
         それらを含めて、口座変更等の諸手続を行政、銀行支店、介護サービス事業所等に、出向き、FAXを送り…を、法律上は死亡によって後見人等でなくなった後にやることになります。。
         凍結された本人さん通帳にも、ご主人の通帳にも残高は数万円しかなく、次の年金振込までやり過ごせるか?の状況で凍結されてしまいました。
         こられの手続きは、相続権のあるご家族しかできないのですが、ご主人の後見人をしているので、代理行為で行いました。
         そのために、本人さんたちの戸籍謄本、住民票の除票などを入手するのに一苦労二苦労。預金の相続や最後の年金を受け取るためには、本人さんの戸籍はその出自まで証明する=相続権者を明らかにする原戸籍が必用で、達筆な手書きの漢字ばっかりの、それはレトロな原戸籍原本を入手しました。
         これらが完了後、「後見等事務終了報告書」、報酬請求申立(市の成年後見制度利用支援事業の利用が前提)、残る請求分の手作業支払い、などとなります。5月末に亡くなられたのですが、まだ還付の入金などがあります。
         さらに、市の成年後見制度利用支援事業の申請をしたのですが、「要項を整備しているので…」と未だに棚上げ状態です。障がい者総合支援法の市町村必須事業がきちょんと行われずに滞っている状態が続いていますので、先週も担当窓口に様子をうかがいに行ってきたところです(「冬になるまでには…」とのことでした)。
         どこかでワンストップサービスにできないのか、後見人制度の不完全さ(および違法性)はどうなっていくのか…?
         「合理的配慮」の全くの無さ、に呆れてしまっています。
         成年後見人をしていると、いろんなことを勉強・体験できますが、同時に制度や仕組みのモンダイや矛盾、制度の谷間や隙間もよく見えてきますね。

         それでは、最近の気になる記事です。1ヶ月分(以上)をまとめて…。

        「指導死」の存在認めない文科省――「先生のいじめ」と大臣

         生徒指導をきっかけ、原因として子どもが自死に追い込まれる指導死。その多くは教師のパワハラによる――昨年11月、下村博文文部科学大臣は筆者の単独取材の中で、前述の見解を容認する発言を行なった。『サンデー毎日』に掲載される予定だったが、編集部と文科省の間で「取材はなかったこと」になり、記事化されなかった。文科省が指導死を公的に認めていないためだろうか。
         下村大臣は取材でこう語った。
         「教師の暴言や憎しみの言葉があったかもしれませんが、一方で、なぜ、あれ位のことで自殺してしまったのかと周りが不思議に感じるケースがあるかもしれません。教師が責められるかどうかはケース・バイ・ケースで、一つ一つを調査して分析しないといけません」
         文科省は調査を実施しておらず、再発防止策もとっていない。
         下村大臣は、「指導死というのは先生のいじめです。いじめ防止対策推進法は、教師によるいじめは含まないという前提はありますけども、波及効果は相当あると思います。学校空間で起こるいじめの全てを撲滅したいと考えますので、指導死も国が基本方針を作って地方自治体に徹底します」と話した。
         「指導死」親の会代表の大貫隆志さんは、「文科省が指導死を放置し続けるなか、大臣の発言には勇気づけられた」と言う。
         8月1日の定例会見でも下村大臣は、「指導により子どもが自殺することがあってはならない」とした。教育行政はこの発言を無視せず、「指導」の名のもとになされる暴行や精神的暴力により、悩み、苦しんでいる子を救う責務がある。
         名古屋大学大学院(教育発達科学研究科)の内田良准教授は、「文科大臣が教師のパワハラに言及したことに意義がある。児童・生徒への体罰は法律で禁じられているが、精神的暴力については法整備されていない。今回の大臣発言を法制化に向けるべき」と指摘する。
        (桜木和美・ライター、8月29日号)
        http://www.kinyobi.co.jp/kinyobinews/?p=4678
        「週間金曜日ニュース」2014年9月17日

        ●滝沢の中2自殺、第三者委委員決定 岩手
         5月末に滝沢市内の中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺した問題で、市教育委員会は17日、臨時会議を開き、生徒へのいじめの有無などを調べる第三者調査委員会の委員5人を決めた。委員は、三上邦彦県立大社会福祉学部教授(学識経験者)▽太田秀栄(しゅうえい)岩手弁護士会理事▽智田(ちだ)文徳盛岡市医師会理事(精神科医)▽細江達郎岩手大・県立大名誉教授(臨床心理士)▽坂口繁治(しげはる)県社会福祉士会副会長。第三者調査委員会は、いじめの有無や自殺の背景を調べ、同様の事態が再発しないよう提言をまとめる。この問題で、学校側は6月、生徒や保護者にアンケートを実施し、7月に「いじめと疑われても仕方ない事案があった」との結果を報告したが、自殺との因果関係に言及しなかったため、男子生徒の家族が第三者委員会の設置を求めていた。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140918/iwt14091807090001-n1.htm
        「産経新聞」2014.9.18

        ●長崎)第三者委は6人で合意 新上五島のいじめ自殺問題
         新上五島町で1月、いじめを受けていた中学3年の松竹景虎君(当時15)が自殺した問題で1日、町と遺族側は学校などの対応を検証する第三者委員会の委員を6人とし、半数を互いに推薦することで合意した。人選は今後、検討する。
         町によると、この日、町議会の全員協議会で、第三者委の委員を遺族側の提案通り6人にすることを決定。江上悦生町長が電話で遺族に伝えたという。
         遺族の支援者によると、遺族は江上町長の電話を受け、3人の委員を推薦することで合意したという。
         町は来週から始まる町議会に第三者委設置の条例案を提案する予定。その後、遺族側と相談しながら、委員の選定などを進めるという。
        http://digital.asahi.com/articles/ASG9163QSG91TOLB00L.html?iref=comkiji_txt_end_s_kjid_ASG9163QSG91TOLB00L
        「朝日新聞デジタル」2014年9月2日

        ●Listening:長崎・佐世保の同級生殺害 どう報じるか 現場に宿る真相へのカギ
         長崎県佐世保市で、高校1年の女子生徒が同級生に殺害された事件が発生して1カ月が過ぎた。不可解でやりきれない事件をどう取材し、どう報じるべきなのか。10年前に同じ佐世保で起きた小学6年女児の同級生殺害事件を取材してきた記者と、事件の本質を考えながら週刊誌に記事を書いた記者とともに考えたい。
         ◇予定調和を超えて−−小6同級生殺害事件を取材 東京社会部・川名壮志
         残酷なニュースには慣れているつもりだが、今回は一報を聞いて特別にうろたえた。2004年にも同じ佐世保で「小6同級生殺害事件」が発生し、駆け出し記者として取材したからだ。被害女児は上司である御手洗恭二・佐世保支局長(当時)の長女だった。私は事件を10年にわたり追い続けた。
         たった一度の特殊な事件と思っていただけに「なぜ佐世保でまた」の思いがぬぐえず、発生から1週間たった現場に駆けつけた。「佐世保」「少女」「同級生」の構図こそ酷似しているが、特徴は異なっていると感じた。10年前は加害者が小学6年生で、女の子同士の濃密な人間関係のもつれによって起きた事件だった。今回は思春期を迎えた高校生で、被害者との関係も少し希薄に映った。やはり少年事件は個別に見るのが大切だと改めて実感した。
         佐世保に行ってみると、情報が整理されておらず、生々しく感じた。少年事件では捜査当局からメディアが得られる情報は極めて少ない上、当局には大人とは違う子供の心の内まで掘り下げる役割は課せられていない。そのため、メディアは識者や専門家に「答え」を求めがちだ。だが現場を知らずに語られる言葉は、洗練され、整っていて一見分かりやすいが、本質を見誤る危うさもはらんでいる。
         例えば、10年前には加害少女の文章やイラストが何度も引用され、少女の異常性を裏付けようとする機運があった。識者を巻き込んだ分析は、いわく「イラストは少女の攻撃性を示している」「大人びた巧みな文章は『子ども』の事件ではないことを示唆する」。
         取材すると、イラストは友達同士のまねごとで、少女の巧妙な文章も精神科医の鑑定で「ネタ本を基にしたパクリ」であることが分かった。加害少女は特に大人びた子供ではなかった。予定調和のような取材をしても、事件の本質に迫れないと思い知らされた。
         今回の少女がなぜ事件を起こしたのか。捜査や少年審判などの司法手続きでは、きっと合理的な答えが導き出されるだろう。だがそもそも子供は、未熟で、いつも合理的な行動を取るとは限らない。
         実は、現場にあふれる理屈では説明のつかない「ノイズ」(雑音)のような情報の中に、事件の真相に迫る要素が含まれていると感じている。そして、どの細部にニュースの本質が宿るのかは、現場を歩いた人にしか分からない。丁寧な取材から絞り出した情報をどう生かすか。それが今、メディアに問われているのだと思う。
         ◇父親悪者論に違和感−−週刊誌に執筆 サンデー毎日編集部・大場弘行
         加害少女の実家を見上げて、思わずうなった。
         佐世保市を見下ろす高台にある豪邸。裏手に回ると近隣住民に開放した庭園があった。趣味も多彩で、ウインタースポーツに没頭し、少女にも特訓していた。個性的な父親を献身的に支え、家族をうまく調和させてきたという母親が昨秋急逝すると、父親は半年余りで20歳年下の女性と再婚した。少女は再婚が決まる前後に父親の寝込みを金属バットで襲い、1人暮らしを始める。事件はその4カ月後に起きた。
         父親の知人ですら「娘さんは一番多感なころ。なんで初盆まで待てなかったのか」と眉をひそめた。週刊誌や女性誌はこんな見出しの記事を出し始める。「母の喪中に父婚活を憎んで」「殺しは、父親への仕返し」「少女Aと父の愛憎16年」「『少女A』を街に放った父」−−。父親の行動が少女の凶行を誘発したというストーリー。が、何かおかしい。少女はネコの解剖を繰り返し、警察の調べに「人を殺して解剖してみたくなった」と供述。殺された少女は仲のよい友人だ。再婚など家庭環境の激変にさらされる子は他にもいる。なぜ少女がこれほど猟奇的な行為に及んだのかの説明がつかない。
         サンデー毎日(8月17日・24日合併号)では「『名士』の家で”壊れていた”加害少女」などの見出しをつけ、少女と父親の関係や精神発達の遅れを指摘する専門家の声を紹介した。動機に踏み込む代わりに、父と娘の”ナマ”のやりとりを証言と資料などを基に詳細に再現した。事件の半年前、中学3年のお別れ会。少女は、同級生を「同窓会に呼んでください」「サバンナでシマウマに乗っているかもしれないけど」と笑わせ、教室の隅にいる父親に向き直る。「こんな僕ですけど、今まで育ててくれてありがとう」と涙声で言うと、声を詰まらせてしまう。
         少女の仕草や感情の発露、言葉遣いから、父への憎しみも、異常性も感じられなかった。だが、この少し前に金属バットで父の頭を殴る事件を起こしていた。父親に落ち度はないとは言い切れないだろうが、父親を悪者にするストーリーに引きずられると、本質を見誤るような気がしてならない。
         ◇少年事件専門家、慎重な調査要望
         7月26日に発生した事件で、長崎地検佐世保支部は、殺人容疑で逮捕された少女(16)について、11月までの予定で専門医による精神鑑定を実施している。鑑定結果が出ると、地検は少女を家裁に送致。それを受けて、家裁が審判を開く。家裁は(1)少年院に送る(2)地検に逆送する−−などの選択をする。(2)の場合、逆送を受けた地検は成年同様の裁判員裁判にかけ、実刑判決が出れば少年刑務所に送られる。
         少年事件の専門家グループは8月、審判手続きに関して「安易に逆送して裁判員裁判にかけないよう」求める要望書を最高裁に提出した。
         要望をしたのは、家裁裁判官を主人公にした漫画「家栽の人」の原作者で佐世保市出身の毛利甚八さん(56)、神戸連続児童殺傷事件を担当した元裁判官の井垣康弘弁護士(74)ら「少年問題ネットワーク」の19人。
         8月14日付の要望書で毛利さんらは「司法に求められているのは、どのような事実関係のなかで事件が起こったかを徹底的に解明すること」だと指摘し、家裁の調査官が十分な時間をかけて調査し、解析するよう求めた。そのうえで、逆送して成人同様の裁判員による刑事裁判にかけられれば「少年が非行事実を振り返り、被害者に対する贖罪(しょくざい)の気持ちを育てるために必要な、内省する機会を奪う」と述べた。さらに、少年院と、成年と一緒になる少年刑務所との教育効果の違いを知ったうえで、立ち直りを促すための処遇を慎重に決めるよう訴えた。【青島顕】
        http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140901org00m040003000c.html
        「毎日新聞」2014年09月01日

        ●佐世保同級生殺害:故郷で何が…記者が現場周辺を歩く
         しん、と静まり返っていた。さっきまで聞こえていたアブラゼミの鳴き声も国道を走る車の音も届かない。長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件の現場マンション。「人を殺して体の中を見たかった」。逮捕された16歳の少女は、県警の調べにそう話したという。生まれ故郷で起きた事件が気になり、私は現場周辺を歩き続けた。【滝野隆浩】
         現場マンションの同じフロアには、高校時代の同級生が住んでいた。一緒にオートロックの玄関を抜けてエレベーターで昇る。4部屋のうち、出てすぐ左が現場、右の奥が彼の部屋だ。JR佐世保駅と市役所の中間にあるマンションは市の中心地なのに、静かだ。「ここか?」「ここばい……」。会話が途切れればまた静寂。少女はこんな場所に一人でいた。
         事件の発生は、7月26日午後8~10時とされる。同級生は休日出勤して午後8時20分ごろ帰宅したが何の物音もしなかった、という。天井の高い10畳の洋間。現場も同じ間取りだ。独り者の彼は言う。「僕は仕事と寝るだけやから快適。ばってん、高1でここで一人って……僕が高校生やったら、静かすぎてとてもできん」
         少女はいま、精神鑑定を受けている。私は以前取材した事件を思い出す。1988~89年、首都圏で4人の幼女が次々と誘拐され遺体で見つかった。容疑者の逮捕も暑い夏だった。裁判では三つの異なる見解の精神鑑定書が提出された。悲惨で不可解な事件が起こると、「心の闇」と言われるようになったのはあの頃からだ。心の奥底に潜む怪物のイメージ。しかし今回、私は違う印象を持った。これは「手の届く」事件だった。
         加害少女は小6のとき、友達の給食に漂白剤などを入れた。継続的なカウンセリングを勧められた父親は、「子供のいたずらだから」と拒んだ。昨年10月、実母が急死すると少女は無表情になっていく。知人によると、実母は亡くなる前、病室で少女の名前を何度も呼びながら添い寝をしてくれていたという。
         今年3月、少女は寝室の父親を金属バットで殴打し、一人でマンションで暮らすようになる。担当教諭は「好ましくない」と父に伝え、下宿などを勧めたが、そのさなかの5月に父は再婚する。父の20年来の知り合いは「せめて8月の精霊(しょうろう)流しまで待たんと娘が可哀そう、と話したが」と明かした。
        http://mainichi.jp/select/news/20140826k0000m040173000c.html
        「毎日新聞」2014年08月26日

        ●小中学生の不登校2314人 前年度より85人増 京都
         平成25年度の府内の不登校の小中学生は2314人で、前年度より85人増加していることが、府と府教委が公表した26年度学校基本調査(速報値)の結果でわかった。
         30日以上欠席した長期欠席者は小学生で1080人(前年度比68人増)、中学生で2535人(同120人増)。このうち病気や経済的理由などを除いた不登校は、小学生で前年度より5人増の410人、中学生で80人増の1904人だった。
         在学者に占める不登校の割合は小学校は0・31%で、全国平均の0・36%を0・05ポイント下回った。中学校は2・62%で、全国平均の2・70%を0・08ポイント下回った。
        http://sankei.jp.msn.com/region/news/140826/kyt14082602150001-n1.htm
        「産経新聞」2014.8.26

        ●新聞読む子、正答率高く 全国学力テスト
         全国学力テストに合わせて実施しているアンケート調査によると、新聞を「ほぼ毎日読む」または「週1~3回読む」と答えた児童生徒の割合は小学6年で前年度比4.5ポイント減の27.3%、中学3年で同4.1ポイント減の21.5%となり、いずれも減少した。一方、よく読むと答えた児童生徒ほど学力テストの平均正答率が高い傾向があった。
         小6の算数Bでは、「ほぼ毎日読む」と答えた児童の平均正答率は66.2%で、「ほとんど、または全く読まない」という児童より11.6ポイント高かった。
        http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG25H12_V20C14A8CR8000/
        「日本経済新聞」2014/8/25

        ●奨学金の無利子枠3万人増
         文部科学省は27日、低所得世帯の子どもに対する経済的支援を拡充する方針を固めた。大学生や専門学校生への奨学金の無利子枠を3万人分増やし、国私立大の授業料減免枠も6千人分拡大して、家庭の教育費負担の軽減を図る。来年度予算の概算要求に必要経費を計上する。
         経済的に苦しい家庭の小中学生には給食費などを補助する就学援助があり、高校には無償化制度が導入されたが、大学などの高等教育は学費も高く、経済的支援も手薄。学ぶ意欲があっても経済的理由で進学を断念することがないように環境整備を進めるのが狙い。(共同通信)
        http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20140827000007
        「京都新聞」2014年08月27日

        ●発達障害の子ども、ITが学習支援 問題文読み上げソフト/キーボードで解答入力
         IT機器の発達で、発達障害の子どもの学習機会が広がっている。
         この夏も東京都内で、全国の発達障害などの小中高校生を集めた学習指導が行われた。こうした子がテストでIT機器を使うと、成績が上がるという検証結果も出ており、入試での使用をどこまで配慮すべきかが、議論になりそうだ。
         今月6日、東京都目黒区の東京大学先端科学技術研究センター。読み書きに困難を伴う小中学生9人がパソコンなどを使い、国語のテストに取り組んでいた。
         問題文を選択すると、音声ソフトが読み上げてくれたり、解答を手書きで記入する代わりにキーボードで入力できたり。「こうしたテクノロジーは、読み書き障害(ディスレクシア)の子どもにとって大きな助けとなり、学ぶ機会の保障にもつながる」と、同センター学術支援専門職員の新谷清香さんが説明する。
         ◇「配慮あり」で得点2倍に
         東大は日本マイクロソフト(東京都)などと協力し、障害のある子の進学を支援する「DO―IT Japan」プログラムに2007年から取り組んでいる。入試でも活用しやすいよう、今年は指定した学年の漢字しか変換できないソフトなどが準備された。この日、IT機器を使った「配慮ありテスト」を受けた児童たちはその直前、紙と鉛筆の「配慮なしテスト」も受けていた。難易度は同じだが、「配慮あり」の得点が「なし」の2倍だった子もいた。
         人間関係を築くのが困難な広汎性発達障害の男子(中学1年)は、鉛筆で書くのが遅く、漢字も苦手だ。学校の定期試験では時間延長の配慮を受けているが、パソコン使用は認められていない。「キーボードを使うと、たくさんの文章をすばやく書き込むことができた」と感想を語った。
         アスペルガー症候群で読み書きに困難がある女子(小学4年)は「読み上げソフトがあると助かる。学校のテストでも使えればいいのに」と話した。
         ◇「公平性」理由に許可されない例も
         このプログラムにかかわる近藤武夫・東大准教授によると、発達障害の生徒の場合、学校の試験や高校、大学入試で配慮を認められないケースが多いという。「授業を録音したり、黒板を撮影したりするだけでも違う。それなのに、他の生徒との公平性などの理由で許可されないケースが多い」と指摘する。
         政府は今年、国連障害者権利条約を批准した。16年春からは障害者差別解消法が施行され、教育場面での合理的配慮の提供が義務づけられる。大学入試センター試験では11年から、発達障害の生徒も受験での特別措置を申請できるようになった。審査に通れば、試験時間を1・3倍に延長する措置などが認められる。
         近藤准教授によると、来春のセンター試験では、プログラムに参加した読み書き障害のある高校3年の男子が、問題文を代読してもらう配慮を申請する予定。これまで認められた受験生はいないが、「この生徒は、高校の定期試験でも代読の配慮を受けている。大学入試センターの判断が注目される」と近藤准教授は話している。(保井隆之)
        http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/campus/cfront/20140825-OYT8T50056.html
        「読売新聞」2014年09月01日

        ●安倍首相:フリースクール視察 公的支援検討の考え
         安倍晋三首相は10日、不登校の児童生徒が通うフリースクール「東京シューレ」(東京都北区)を視察し、運営費の補助など公的支援を検討する考えを示した。首相は「学習面、経済面でどのような支援ができるか、検討を指示する」と表明。近く文部科学省に有識者会議を設置し、来年度中に結論を出す。
         文科省によると、不登校の児童生徒に学習支援や体験活動を行うフリースクールは全国に約400施設ある。学校教育法上の「学校」ではないため、校長の同意がなければ「出席」扱いにならず、保護者の経済的負担が大きいことも問題となっている。
         首相は10日、東京シューレのスタッフや生徒と懇談。記者団に「子どもがいじめなどで学校に行けない状況に目を背けてはならない。さまざまな生き方、学び方があることを受け止めることが大切だ」と述べた。【小田中大】
        http://mainichi.jp/select/news/20140911k0000m010105000c.html
        「毎日新聞」2014年09月10日