子どもたちの反社会・非社会的行動の初期対応
2002/11/23
非行・暴力・いじめ、保健室登校や不登校。学校において「適応」できない心理から生まれるこれらの行動に、最初に気づくのは、多くが担任や教科担任の教師ではないでしょうか。その教師にゆとりがなく、子どもたちの内面の揺れに気づくことができずに過ごしてしまうと、子どもたちはさまざまな身体症状を起こしてしまいます。自分の苦しみ・悲しみを誰もわかってくれない、自分の存在さえも否定してしまう自己否定感情が強まります。学校で何らかの事象が起こったとしても、学校がそれを抱え込んでしまったら、親がそれに気づくのに時間がかかってしまいます。その時、すでに手遅れ、という場合もあります。
現在の学校教育において、日々の子どもの内面の変化に気づき対応することはもはや困難なことだとは思います。それでも、子どもを一人の人間・人格として見るならば、管理教育はさておいて、その変化に対応することは、人間として大切なことであることに異論はないと思います。そして、親とともにその事象を共に認識・理解し、受け入れ、対応を考えていくことが必要だと思いますが、それができない学校現場と親との関係には、明らかに疑問視せざるを得ません。なぜ、このような関係が生じているのか? 「ゆとり教育」「心の教育」という概念だけが上滑りし、その実子どもたちの「心」との距離を広げているだけのように感じてしまいます。もっと、教師のみなさんへの「ゆとり」と、問題事象への教育臨床の保障を必要としていると思います。非行や不登校などのケーススタディを、親と教師が積み重ねていくことがその一歩となるのではないでしょうか。