バイクにつけたカーナビを使いながら考えた学校管理システム。
2003/06/22
私は車を持っていません。移動はバイク(カワサキ・バルカンクラシック400cc)が中心です。先日ポータブルカーナビ(サンヨー・ゴリラNV-DK751)を取り付けました。詳細は省きますが、利用してみてその特性が少し見えてきました。DVD-ROMに記録されている地図データをもとにGPS衛星から見て最短と思えるルートを探索するシステムですから、スタート地点とゴール地点を指定してルート探索させるとそれなりのルートを作ります。しかしあくまでも地図データが基本ですから、実際の渋滞や路面の状況、信号待ちの時間などは理解できません(最新のものは渋滞状況などを把握してルート修正を行う等するそうです)。ここで探索されたルートは融通性のない「ルートマニュアル」とも言えます。偉いところは、指定されたルートからはずれるとルートの「再探索」をするところですが……。さて、走りながら学校の管理システムとの類似性を見つけてしまいました。文科省という名のGPS衛星、教委や諮問機関等の基本データ、これらにテーマが与えられると指導要領や通達等という名のルートが探索・表示され学校という利用者に提示されます。普遍性を求めた一般論的な色彩が強い「指導」がこうして行われていきます。現場で日々刻々と変化する状況(子ども、子どもと教師、職員間などの人間関係や外部からの影響等)は「ルート外」です。カーナビのように「再探索」はありません。基本データも怪しいものですし、GPSの性能も前近代的なもののようです。要は、どれだけ利用者がこのシステムの有効性と限界性を理解した上で柔軟に活用できるかが大切ということ。指定されたルート通りに走り続けるととんでもない渋滞やトラブルに巻き込まれます。「再探索」する勇気が求められているとも言えるでしょう。でも、もっと大切なのは、誰のための、何のためのルートなのかということです。ゴール地点の設定が、教育の主権者である子どもたち一人ひとりの豊かな成長と学びに置かれるならば、子どもの数だけルートが作られ、日々の状況変化に柔軟にルート修正・再探索が行われなければなりません。そうした現場実践がデータとして「地図情報」に追加され、積極的な関心を持って受容するGPSが人間性豊かに機能するならば、学校という場はもっと人にやさしいところ、安心できる場となるのではないでしょうか?