広島では99年以降12名の管理職・教師が犠牲に
2003/08/31
「広島の教育はどうなっているのか」というタイトルで『週間金曜日』にルポが載っていました。尾道市高須小学校の民間人校長・慶徳さんが「うつ病」と診断されつつ休職願いを拒否され、教頭も2名が過労で倒れる中で自ら命を絶ったのは昨年3月。当時慶徳さんが市教委から提出を求められていた報告書は370件、自殺直前の超過勤務時間は1日平均7時間16分だったそうです。被爆地広島では「平和教育」や部落差別をなくすための「同和教育」を地元の様々な団体と連携して取り組んできた歴史があるのに、98年に文部省がこれらが学習指導要領等から逸脱しているとして「是正指導」を行い、県教委に是正状況の報告を指導していたそうです。こうした流れの中で校長の権限が強化され、職員会議は校長の補助機関化、上意下達の場となり民主的な学校運営が困難に、また教師のつながりは分断され管理職に対する忠誠心競争に駆り立てられていったとも。定年前の退職も増加し、97年度に比べ校長は14人から02年度には2倍の28人に、教諭は70人が123人に。休職者に占める精神疾患の割合も36.1%から44.6%に増加しています。12名の命が奪われ、退職・休職者が増加の一途をたどる実態は広島だけのものでしょうか。
広教組書記長は「現場の教師は書類の山で、教育をしている実態がない。子どもそっちのけの業務になっている」と、全教広島の書記長は「是正指導や(広島の)教育改革の特徴はあるべき教育の形だけが論議され、子どもが不在であることです。広島の子どもたちをどうするべきかを議論すべきです」と語っています。学習権の主体である子どもたちの声を聞かない「教育改革」なんて、大人の都合、企業の都合、国家の都合でしかありません。今こそ子どもたちの声を聞く子どものための「改革」が求められていると思います。