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        10 生活保護受給中における家電品の買い換えなどについて
        以下の文書は、生活保護法の「改正」による保護基準の引き下げなどによって生活がさらに困窮することになるために生活保護受給者の皆さんが全国で起こしている不服審査請求の1つに、意見として提出させていただいたものです。

        私は、成年後見(後見・補助)人として幾人かの単身で生活されておられる生活保護受給中など、経済的に困難な状態な方のサポートをしています。
        受け取り年金が生活保護基準を満たさず、生活保護を重視ながら介護サービスなどの支援を受けながら、ご自宅での生活を営んでおられるケースなどで、老朽化による家電品の買い換えができずに困っておられます。
        エアコンは冷暖房器具として生活福祉資金の借り入れで(収入認定としないで)交換ができるようですが、申請も借用の書類も、本人名だけでは受け付けてもらえず、後見人等が共同申請、共に印鑑証明書などを添えての借用書作成となるようです。また、本人に年金収入がない場合には「返済」の担保がないため申請すらできないようです。生活保護受給など生活困難な状況にある人は、今利用している家電品が、壊れないように祈るほかないのが実情です。
        さて、今回強く意見をさせていただきたいのは、こうした生活福祉資金貸し付けの対象とならない(生活保護による他の認定対象ともならない)冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、洗濯機などの生活必需家電に関してです。
        最近の夏場の暑さは異常気象と言われ、食品の安全な保管や加熱などは、食中毒予防の上でも生活上不可欠なものであることは誰も疑うところのないところです。
        特に、高齢・単身で介護サービスなどの支援を受けながら生活されている人にとっては、冷蔵庫は失えば命に直接関わる耐久消費財です。
        購入後50年以上が経過し、メーカー保証切れはもちろん、モーターの異常な動きが見られるなどすぐにでも買い換えたい冷蔵庫について当該福祉事務所に相談に行きましたが、「対象外」として「生活費の中から貯めて買い換えて下さい」と言われました。経済的にはまったく余裕がなく、お金を月々貯めることが実質的に困難なケースにおいて、冷蔵庫が突然に故障すれば、その日から食品を保冷する装置を失います。介護ヘルパーが日に1回入っていたとしても、おかずを2食分作り1食分は冷蔵庫保管、2日に1回入る場合にはおかずを数回分作り冷蔵庫保管し、次のサービス提供まで食べ繋ぐのが実態です。
        日中35度をはるかに超え、夜も30度を下回らない熱帯夜が続く中、冷蔵庫なしに、このおかずを保管することは不可能です。そして、冷蔵庫を買い換える方策がないとなれば、食生活の見通しがまったく立たないことになります。
        電気冷蔵庫・電気洗濯機・白黒テレビは1960年代に「三種の神器」と言われました(高度経済成長期にはカラーテレビ(又はピアノ)・クーラー・車)。
        これらの中で、クーラー(エアコン)を除いて、使用していた物の故障などによる買い換えへの資金貸し付けすらなされないという実態が、「生存権」を保障しているとは到底思えません。
        「保護の実施要領」第7:最低生活費の認定、「生活福祉資金」の制度設計などに関して、生活実態に即したものとなるよう実態調査及び見直しをはかるとともに、暫定的な措置として必要な生活必需家電品の買い換えに対応できる資金貸し付けサービスの実施などの、「命を守る」対策を至急に講じていただくことを強く求めるものです。