19 放送大学大学院での修士論文を公開します。
放送大学教務課を通して、指導教官の許可を得て、私の修士論文を公開させていただくことにしました。
もう4年前に仕上げたものですが、自閉症スペクトラムの方へのサポートがなかなか進まない中で、現在でも参考になるエッセンスが多いのでは?という自負から、また、自閉症スペクトラムを基軸とする「神経発達障害」圏への理解を広めていただきたいという思いから、公開を決意しました。
生きづらさを感じておられる本人さん、関わるご家族や支援者の方々に役に立つものであれば幸いです。
「自閉症スペクトラム(ASD)特性のある成人へのスキル獲得レディネスの発達の視点による、段階・状態別のサポート事例に見る有効な支援と課題 」
木 下 秀 美(091-820293-7)
放送大学大学院 文化科学研究科 人間発達科学プログラム
(2011年12月提出/2012年3月修了)
<概要>
自閉症スペクトラム障害(ASD)やその特性のある人が、その特性や成長過程での心理社会的要因によってさまざまなスキルの獲得のためのレディネスの発達が多面的・複合的に阻害され、それらの獲得が遅れている、または獲得できないままでいるスキルを生活・就労面などで活かせるように獲得していくための具体的なスキル獲得のための相談支援や対人関係トレーニングによる実践等から検討・検証を事例研究により行い、それらの必要性および有効なアプローチや課題を明らかにする。
<本研究が対象とするASD特性のある成人>
DSM-IV-TR(精神疾患の分類と診断の手引)によるところの、知的障害を伴わない「299.00自閉性障害」(高機能自閉症と通称される)、「299.80アスペルガー障害」および「特定不能の広汎性発達障害(非定型自閉症を含む)」と診断された、または診断にいたらないまでもそれらの特性が生活や対人関係において困難さを生じていると見られる青年・成人(Broader Phenotypeなどのより広い表現形をも含む)。2015年に予定されている国際的精神疾患診断基準の改訂(DSM-Ⅴ、ICD11)において、「広汎性発達障害」から「自閉症スペクトラム障害」へと名称が変更されることを前提に、その略称である「ASD(Autism Spectrum Disorders)」と基本的に表記することにする。
<考察>
成人のASDの特性のある人には一定の共通した部分がありつつも各々の生得的な違いやアンバランス、段階や状態があり、そのサポートには段階・状態に応じた構造化された個別の支援の多様な「器」が必要である。
1.相談支援面接(カウンセリング面接)の有効性と課題
2.集団的スキル・トレーニングの有効性と課題
3.家族の学び、理解、関係性への支援の必要性
4.トラウマ処理と自己評価を高める個別及び集団的支援の併行アプローチ
5.就学・社会生活・就労を緩やかに支援する医療と連携した豊かな福祉的支援の必要性
↑こんな内容のものです。
↓PDF http://mhswkanna.starfree.jp/mronbun201112.pdf