28 「乙訓不登校フォーラムVol.2」をふり返って。(乙訓不登校を考える親の会『大地』、2019年9月8日開催)
今回は「体験者に教えてもらおう」という前回(昨年)コンセプトを引き継ぎ、3名の体験当事者&3名の保護者、計6名に、凝縮された6つの現在進行形の物語を聴かせていただきました。今年は昨年よりも参加者がちょっと少なく、私を含めて100名でした。同じ地域(それもすぐ近く)で、「どれにも参加したい」と思えるイベントが3つ重なってしまったことも影響しているでしょう。とはいえ、100名が集まるフォーラムはやはり値打ちがあります。
寄せて頂いたアンケート・感想のほとんどが、生の話しが聴けて良かった、よく話してくれた、知ったことを地域で(あるいは家庭で)活かしていきたい、これからも体験者の声を聴かせてほしい、というものでした。
アンケート・感想を参考にさせていただきつつ、コーディネーター(『大地』のアドバイザー)として、備忘として打ち上げ会を終えての振り返りを残しておきたいと思います。
<乙訓の不登校フォーラムの独自性>
・学びから交流・共感、仲間作りへ
『大地』が結成されてまもなく(この12月で)3年となります。毎月の定例会、年に1回の特別定例会(講演会、フォーラム)、学習会(発達障害など)、ワークショップ(居場所など)、親睦会(ランチ会、バーベキュー、流し素麺会など)、地域のイベントへの出店およびその準備などなど、「不登校」というテーマで集まったこどもと大人が入り交じって様々な体験を共有し続けています。
2市(向日市、長岡京市)1町(大山崎町)が1つの保健圏域で、それを1つのエリアとはしていますが、京都市内などからも集まってこられています。
不登校のこども、親だけでなく、行政(議員、職員)や社会福祉協議会、こども支援に関わる支援者の方々も参加いただいていて、「地域」の子育て支援を共に考え協働する1つの拠点にもなろうとしています。
・多様な学びと居場所の拡がり
各教育委員会設置の適応指導教室、放課後等デイサービス、NPO法人運営の居場所利用、お寺のカフェ(毎週1回お借りして開催)、卓球(月3回位)などなど、こどものニーズからその実現に向けて柔軟にかつ大胆に、多様に取り組みや活用できる社会資源が拡がってきています。
適応指導教室については、向日市ではそれまで週3日午前だけの開設であったものが週5日午前に拡充、それまで無かった大山崎町でも週3日開設が実現しました。まだまだ課題はありますが、適応指導教室に「適応」するこどもが居る事は事実です。学びと仲間作りの場としてさらなる充実に向けて取り組みが進められようとしています。
NPO法人運営の居場所通所、放課後等デイサービスへの通所を通じて、学びと仲間作り、安心と自己肯定感を高めるこどもたちが増えて来ました。
諸先輩方の体験などから、学校との関わり方を、その子に合ったものへと変化させ、「行かない」けど「嫌じゃない」関係性の模索をされる親が増えています。こども目線で一緒に考え対応していくことの大切さを実体験されています。
・不登校を生きるこどもたちの主体的参加
講演会やフォーラムは、事務局の親が中心となり、会員である親が協力する形でスタートしましたが、昨年からこどもが準備段階・当日の設営や受付・アンケートの集約のための入力作業などに参加・協力してくれるようになってきました。今年は受付、会場設営を多数のこどもたちが積極的に
手伝ってくれて助かりました。「親がやってるのを手伝う」ではなく、「自分たちのフォーラム」を成功させたい!という思いが伝わってきました。今彼ら彼女らが「居場所」と思えている所は、彼ら彼女らのものとなっています。
<体験者の語りにこだわる理由>
・講演会や学習会は沢山開催されるので情報を提供すれば良い
京都市などでは、教委主催の講演会が公開されます。ちょっと足を伸ばせば、様々な団体主催の企画に参加できます。そうしたものを地元で、という希望もありますが、講師をお招きして人数を集めて…という取り組みを年1回の大きなイベントにして良いのか?という段階に至ったのが1つの大きな理由です。
こどもが不登校状態になっている親、学校や地域や親族として関わる人たちに、不登校の現実や体験をもっと知ってもらって、不登校に限らずこそだての悩みや困りに理解ある地域に変えて行きたい。そんな段階に辿り付いています。
そして、3年あまり取り組みを続ける中で、現役不登校児童・生徒、体験者との関わり(家族なので当たり前ですが)が着実に増え、「フォーラムで発表しても良い」と言ってくれる体験者が出てきました。回を重ねる毎に増えて行くものと考えています。
研究者・有識者・支援者などの著作は多数ある。不登校新聞を始め、メディア報道やネット情報も多数ある。だけど、もっと身近で具体的な、地域特有の課題も含めた不登校については、体験者が自らの実体験を語り、対話をして行く中であればこそ知ることができるもの。それは、学びとしてはとても有り難く、大きな感動と希望を与えてくれるものであることを、私たちは実体験してしまいました。
理由・キッカケも、対応・経過も、その後も、十人十色、百人百様、千差万別の不登校。どう理解し、受け入れ、関わって行けば良いのか、そのヒントを沢山もらえるのは「体験者の語り」なのかな?と思うからです。
<学校関係者の参加の増加>
不登校をモンダイとして捉えると、学校と家庭はどうしても対立構図になってしまいがちです。それでは、何の解決・改善にもならないことを私たちは学んできました。
特に昨年の1回目のフォーラム準備段階から、学校・教委関係者(教職員、元職、SC・SSWなど学校現場でこどもと関わる大人)にご参加いただいて、一緒に考え、悩み、取り組みを拡げて行きたいという思いが強くなりました。
幸い、地元の2市1町の教育委員会に協力要請すると、後援をしていただけることになり、フォーラムのチラシは2市1町の全小・中学校で全児童生徒に配付されています。
当日も、今回は1回目よりも学校・教委関係者の参加が増えました。参加してくれている教職員を見て、「嬉しかった」と感想を寄せてくれた親も複数おられました。
そんなこんなで、教育・福祉・地域社会の様々な立場の大人たち、また、こどもたちの縦・横つながりの拡がりを実感できていることが、率直に嬉しいわけです。
来年もVol.3をやることになりそうです。
また、ご案内させていただきます。その節はよろしく…