新しいwebサイトが、ようやく安定してきたので(といってもまだ工事中)、研究ノートを久しぶりに書いてみます。
個人の相談室の相談・カウンセリングでも、不登校の親の会でも、「不登校の理由」は当然ながらよく話題に出ます。具体的な理由がわかれば、どうにか対処・対応したくなりますよね。
気を付けたいのは、その考え方に「再登校」「学校復帰」を望む大人の願望がないか?です。その視点で理由探しをしても、何かが解決・解消して、大人の望む「再登校」「学校復帰」に至ることは稀ですし、もしそうなったとしても本人は無理をして「行くことに」してくれたのだと思います。
「親がそこまで言うのなら」「先生が自分のためにそこまで動くのなら」と忖度し、でも「本当に大丈夫か?」と疑いつつ…。
数多くの当事者から、行かなくなった当時のことを聴くと、「なぜだかよくわからないけど、急に行きたくなくなった」という答えが返ってきます。
さらに、時間をかけて、時間を経て教えてくれる「ふり返って考えれば…」の「不登校の理由」は、概ね次の3点に共通しているようです。
1.大人数の狭い空間が嫌
2.(先生などから)何をするのかを指示されるのが嫌
3.自分がやりたいと思うことを自由にさせてくれないのが嫌
一定数の当事者にアンケートに協力してもらうなどしてデータを集めれば、それなりの根拠のあるデータに基づく研究としてまとめられると思いますが。
また、この3点の共通項が、神経発達症とされる自閉スペクトラム、ADHDの特性にも当てはまる点を見落とさないことが大切です。特に感覚過敏、社会的状況に合わせることの苦手さ、限定的な興味・関心。
10月13日(水)、文部科学省が「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省初等中等教育局児童生徒課)を発表しました。
※↓のサイトからダウンロードすることができます。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm いじめの状況、自死児童生徒の増加、そして不登校の増加が報道でも注目を集めました。
小中学校の不登校については、196,127人と過去最高となっています。
私が注目したのは、(4-8)不登校児童生徒への指導結果状況。不登校児童生徒数の中で、「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」と「指導中の児童生徒」に分けてをカウントしていることです。具体的には、「指導の結果登校する又はできるようになった児童生徒」は54,884人(28.0%)、「指導中の児童生徒」は141,243人(72.0%)です。学校からの「指導」という関わりで「再登校」になったものの年間30日以上は休んでいる児童生徒は28%ということです。
この数値を多いと見るのか少ないと見るのか、意見は分かれると思いますが、72%は「それでも行かない(行けない)」のが調査結果の数値であり、その数が増加傾向にある事実と向き合う必用があります。
先にあげた「3つの理由」、「教室の授業そのもの」と思えませんか?