■成年後見制度とは?
法務省のwebサイト「成年後見制度・成年後見登記制度」では、
認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。
と紹介されています。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji95.html 同サイトのパンフレットなどをご覧いただきたいと思います。
「判断能力」の状態によって、後見・保佐・補助の3類型があり、「援助が必用…」とされる保佐・補助では、何を法定代理で後見人等に頼むのかを選択できます。
例えば、通帳等は管理して欲しいけど一定の現金や生活費用の通帳は自分で管理したい、どの病院に行くかは自分で判断したい、今は自分でできるけどいずれは頼みたい、など。
資産や預貯金の管理はイメージしやすいと思いますが、適切な医療や介護等のサービスを受けられるように手続きや契約をするなどの「身上監護」はこの制度の「車の両輪」と例えられる大切な代理権(及び取消権)が含まれます。
私たち福祉専門職(精神保健福祉士・社会福祉士)が成年後見人等を受任する場合は、資産管理はもちろん、身上監護をとても大切にします。認知症や障害の状態や進行に応じて、適宜サービスを利用する医療・介護の事業提供者や行政の窓口等と連携して、その方に必用と思われるサービス利用やその変更、新たな契約等を代わりに行います。
■利用するには?
法定後見制度の場合は、ご本人やご親族(三親等内)が「利用したい」という意思があり申立すること、医師意見書によってその必要性が判断されること、家庭裁判所に後見等の開始の審判(家事審判)申立を行うことが必用で、開始となるか、誰が後見人等に選任されるかは家庭裁判所の判断となります(申立時に後見人等の候補者を申請することもできます)。
申立には、所定の手続き・費用が必用です。一般の方には家事審判の申立はハードルの高いものとなるため、弁護士や司法書士に手続きを委任することが多いです(所定の申立費用に加えて委任費用:資産等に応じて概ね10万円〜15万円が必用)。生活保護受給者や非課税世帯の場合に、法テラスの法律扶助制度を利用することもできます。
家庭裁判所から後見等の開始の審判が下ると、選任された後見人等(後見人・保佐人・補助人)が活動を始めます。後見人等は就任後1か月を目処に、被後見人等の資産・預貯金や医療・介護等の利用を含めた生活状況を財産目録・収支予定表等で裁判所に報告します。そして、1年後に事務報告・財産目録・収支予定表等を提出し、報酬付与審判申立を行い、裁判所から報酬が決定されます(資産に応じて概ね年間20万円〜)。
■成年後見制度利用支援事業とは?
報酬額を聞かれて驚かれた方も多いと思います。1月あたり2万円程度〜。これを高いと考えるか、必用な報酬額と考えるかは大切なところです。ご本人やご家族が資産管理や身上監護を行ったとしても、当然金額として見えないコストはかかります。また、物理的に行えない場合、誰かに代わりに行ってもらう必用がありますので、対価としての報酬が発生します。このあたりを事前にご相談いただけるように、当相談室では後見制度利用相談を行っています。
生活保護受給者や非課税世帯の場合に、市町村が実施している「成年後見制度利用支援事業」の利用を申請することができます。報酬を、ご本人の預貯金から拠出できない場合に、市町村がこれを助成することができる制度です。全国のほとんどの市町村で制度の要綱整備・実施がされていますが、まだ取り組まれていないところもありますので、事前に調べておくことが必用です。
成年後見制度利用支援事業は、介護保険法では市町村の地域支援事業の任意事業として、障害者総合支援法では地域生活支援事業の必須事業と定められています。また、成年後見制度利用促進法の制定に伴い、制度の利用促進やその基盤整備が市町村に義務づけられています。
<参考webサイト>
・成年後見制度利用支援事業の実施状況について - 厚生労働省
・成年後見制度の利用促進について - 地方厚生局
■成年後見制度についてお気軽にご相談を!
相談室カンナでは、代表が専門職後見人として後見・保佐・補助の各類型の法定後見人として活動しています。
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