お知らせ

news

  • ▼新着情報

    • ▼ブログ

      • ▼研究ノート

        38 成年後見制度利用支援事業の拡充が必要
        2022/08/18
        8月17日付けの京都新聞さんから。
        省庁縦割りの壁に遮られながらも、国としての課題意識がある、ということはわかる。
        でも、これらを具体化していくためには、裁判所や行政の理解と努力が不可欠。もちろん職業後見人や法人後見をしている団体も。それぞれに思いがあるだろうから、ヒアリングをまずすべきだろう。
        ただ、もう一つ、利用者が増えない、使いづらいと感じる大きな理由についてあまり語られていない問題があるように思う。
        後見人報酬の問題だ。月2万〜4万円と聞いただけで、必要としていても止めるか躊躇う。お金に余裕があってもだ。
        問題は、認知症高齢者や障害のある人で、利用の必用性がある場合、その多くが老齢年金や障害年金を頼りに生活されている。生活保護受給者であれば、全国のほぼほとんどの市町村の「成年後見制度利用支援事業」で報酬助成の申請・受給ができる。障害者総合支援法では市町村の必須事業とされているので、未実施のところは問題である。
        この事業、地域差はあれども、概ね、生活保護受給者だけでなく低所得の人(およびその後見人等)が申請できる対象者とする内容となっているものの、年収、預貯金の上限要件というものがある。一定額の預貯金(300万円もしくは350万円という設定が多い)があれば、そこから取り崩すこともしばらくは可能だろう。しかし、収入要件は年に150万円以下というものが多い。進んでいるところでは収入要件を年収ではなく「非課税であること」としてきている。進んでいるところでは、である。
        後見人等の報酬は、非課税など低所得の方の場合、年額20〜30万円(在宅と入所・入院で異なる)程度で、地元市2つの実際の事業の予算・実績を見ると、10数件から20件程度と思える。職員一人分の人件費に相当すると考えて良いだろう。
        もし、後見人抜きで、対象者の医療、介護や障害福祉の申請・手続き、契約、支払い、預貯金管理など個別・随時の対応を行政「サービス」(本来そうすべきもの)としてプッシュ型で行っていたら、職員一人でやれるだろうか? 家族の負担はどれくらいだろうか? 見える化されないネグレクトは、いったいどれくらいあるのだろうか?
        お金があってもなくても、これらの「手間」は同じである。行政は「申請主義」で逃げるばかり。そうした矛盾の谷間・隙間を埋める制度としても、成年後見制度は、いろいろあっても動かざるを得ない。
        成年後見人を必要とする人は増え続けることに違いはなさそうである。でも、利用者も、後見人も増えない。制度改善をめざす見える旗を振っている人は、探さないと見つからない。日本の社会福祉の現状をまざまざと映し出している。予算を増やさないばかりか減らそうとしているようにも思える。(今、地元市に1件助成申請していて、年収要件で引っかかっているためだろうが、昨年まで支給決定されていたのに、今年は1か月半が過ぎてもその決定の可否通知が来ない)
        国葬などやっている場合ではない。